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ごあいさつ

代表取締役社長 中野 敏光

2023年3月期は、計画通りの増収、減益の結果に終わりました。様々な取組みにより、計画よりは減益幅を抑えることはでき、営業利益率も11.6%と、お約束をした数値10.7%を上回って終わることができました。業績は芳しくありませんでしたが、派遣社員の報酬をアップしたことにより、今年度からの成長に対しては確信を持つことができました。派遣社員の契約継続率を高めることができ、新規採用にも効果を感じることができたのです。

私は、事業を始めたときから、営業利益率が10%以上の会社になることを一つの目標としてきました。それは健全な経営をしている会社として認められる要素だと考えているからです。企業として見られるときには経常利益率が評価の対象ですが、事業としては営業利益率が評価されるのではないかと考えています。
これまでは、毎年、売上額も利益額も成長し続けることを目標に取り組んできましたが、昨年度は利益を落として、派遣社員の待遇改善に取り組みました。今期も大きな増益は計画をしていません。まだまだ取り組むべきことがあるからです。
健全な経営といわれる指標は死守する、すなわち、営業利益率を10%出し、配当性向を30%以上にし、株主に対する減配をしない状態を維持しながら、派遣社員への報酬アップ、従業員への報酬アップに取り組み、人材業界の中で唯一無二の会社を目指していくことを考えています。このような方針の下、昨年度に行った派遣社員への報酬アップが当社の成長ドライブの一つになると確信し、さらなる成長が見込めると考えましたので、今年度は配当性向を40%にする計画を立てました。株主の皆様のご理解の下、お客様と派遣社員と当社の3者の利害が一致し続ける状態を作り、他の人材サービス会社とは構えの違う会社となり、売上高1,000億円、経常利益100億円規模の会社を目指し続けます。

前述の3者の利害を一致させるために、これまで以上に施策を検討し実施していきます。大きな増益計画は立てていませんので、短期の利益を犠牲にすることにはなりますが、将来への投資として考えています。営業利益率10%を崩すことはありませんし、配当性向も上げ、減配を行うこともありません。利害関係者に対しての責任を果たしながら、会社の質的転換を行い続けたいと考えています。

現在、理学系研究職市場においては、3人に1人(厚生労働省データ、当社調べ等により推計)が当社グループからの派遣社員という占有率を維持することができていますが、市場の半分以上を占めることは、理屈の上では困難です。お客様と派遣社員の利便性を追求すべく開発を行ってきた人材派遣サービスのプラットフォームをリリースして以降、社内業務の一層の効率化に取り組み、お客様と派遣社員のさらなる満足の向上と利便性を追求してきました。これを基盤に、お客様・派遣社員と強固な関係性を築き、現状をゆるぎないものにして、新たなプラットフォームを展開することで事務職市場にも進出していきます。

また、第四次産業革命の最中にあるといわれている事業環境の中、AIの活用を無視して経営は行っていけません。産業構造の変化から考えると、「仲介サービス」である人材派遣事業そのもののあり方も考えていくべきときが来ているとも考えられます。我々の事業は何かと考えたときに、課題を解決するために仕組みを構想し、それを実現するためのプラットフォームを構築し、利便性の高いサービスとして提供していくことと定義したいと思います。

組織体制として、グループ内でプラットフォーム開発をネゾット株式会社が行い、そのプラットフォームを用いて、人材サービス事業会社、CRO事業会社等が事業を運営していくというグループ内での役割を明確にし、事業を推進していきます。当面は、人材サービス事業会社、CRO事業会社という表現をしていきますが、自らの形を変えても、お客様にとって利便性の高いサービスを提供していく会社であり続けたいと考えています。

今年度も、投資対効果のバランス・挑戦と堅実な対処とのバランスが従来にも増して求められることを認識し、果敢に挑戦をしながら着実に事業を行っていく所存でございますので、これからも一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2023年5月

代表取締役社長

中野 敏光